iアプリでエロゲーをやるのもどうかと思ったが。
シークレットゲームというアダルトゲームのiアプリ版をプレイする。
個人的には、分岐ほぼゼロのノベルゲーをゲームとは呼びたくないのだが、そこは横に置いておこう。
主人公を始めとした登場人物は、拉致されて広大な謎の建物に連れ込まれている。
13人の登場人物は、それぞれ1階の別々の部屋に寝かされていた。
首には金属製の首輪がつけられており、近くにはトランプを模したPDAが置かれている。
PDAを操作すると、13人それぞれ異なる首輪を外す手段と、建物の中で行動する際のルール、建物の地図が表示される。
首輪を外さなければ72時間後に殺される。
ただし、首輪を外すための条件には殺人を必要とするものが含まれている。
そういう謎の『ゲーム』に放り込まれて、脱出のために主人公たちが頑張るというストーリーだ。
ソリッド・シチュエーション・スリラーの一種……と言っていいのだろうか。
ストーリーはEpisode1〜Episode4までの4章で構成される。
と、言っても全体のストーリーを4つに分割しているわけではない。
作中で行われる『ゲーム』の始まりから終わりまでを1章として、4パターンのストーリーがあるのだ。
Episode3には途中で一箇所だけ分岐があるので、正確には5つの物語がある。
各章でそれぞれヒロインが変わる。
Episode1は咲実(黒髪ロング)、Episode2は麗佳(ツンデレ)、Episode3は渚(天然系お姉さん)とかりん(ボーイッシュ)の分岐、Episode4は優希(ロリ)(&咲実)。
移植時に追加されたというEpisode3のかりんシナリオ以外はとても面白かった。
ただ、他の出来がいいぶん、かりんシナリオだけはイマイチ。
かりんというキャラクターは、病気の妹のために莫大な額の手術費を必要としている。
ゲームに生き残った際、生存者の人数次第で賞金がその手術費に届く。
そのため、かりんは人を殺してでも妹を救おうとする。
首輪の解除条件はPDAを5台集めること。
一時的に借りるだけでも問題ないが、信用して貸してくれる相手がいなければ奪うしかない。
かりんのルートである以上、最後はかりんが助かるのに必要な数のPDAがそろうかどうかという展開にならなければならない。
Episode3で最後の障害となるキャラクターは、手塚という男だ。
慎重かつ狡猾で、『ゲーム』を楽しんでいるような雰囲気もある人物。どの章でも、基本的に主人公とは敵対することになる。
で、かりんルートの手塚は、どうも展開の都合でらしくない行動を取っているように感じる。
勝ちを確信して気が大きくなってたというような説明はあるけど、なんかとってつけたように思えてしまった。
手塚は一番気に入ったキャラなので、その辺のひいき目もあるかもしれないが……。
それから、かりんシナリオのエッチシーン。
まあ、とってつけたようなエロはいらんっていうのが第一の感想なんだけど、それはそれとして。
Episode1だけは全部終わってから勝利のメイクラブにいそしむが、Episode2以降は最後の戦いの前にヒロインとエッチすることになる。
正直、そんなことしてる場合かと突っ込みたい。(あ、でも、渚シナリオは死んでもともと的な雰囲気で戦いに行くので、思い残すことがないようにヤッてくのもありか)
それでも、他は時間的な余裕が多少なりと存在する状況でしている。
かりんとのエッチは、
『罠で仲間と分断され』
『敵(手塚)には自分たちの所在を知る手段があり』
『現在、敵がどこでどう動いているか不明』
……な状況で行われる。
お前は、なにがなんでも生き延びて妹の手術費を持って帰らなきゃいけないんじゃなかったのか。
最後の戦いも気に入らない。
主人公やかりんの知らないところで、手塚と渚の相打ちで戦いが終わってしまう。
渚に比べれば主人公やかりんの戦闘能力は皆無に等しいわけだが、それでも主役不在で戦いが終わってしまうのは物足りない。
唯一主人公が行ったのは、まだ息のあった手塚の止血くらい。それも結局無駄に終わる。
かりんシナリオは唯一主人公が死亡するシナリオだ。
そのこと自体はよかったと思う。
他のヒロインは主人公に対して芽生えた愛情だけがモチベーションだから、主人公が死ぬと救いがない。
しかし、かりんは妹というもう1つの強いモチベーションがある。
でも、なにも知らないところで戦いが終わっててそのまま死なれても、正直盛り上がりに欠ける。
そんな感じでかりんシナリオは不満。
ただ、繰り返しになるけど他のシナリオはとても面白いし、章立ても上手だと思う。
各章には、攻略するキャラの違い以外にもちゃんと意味がある。
Episode1の咲実シナリオでは基本的な『ゲーム』の内容が語られる。
それぞれの登場人物がどんな首輪の解除条件なのかはEpisode1を読み終わればだいたいわかるし、階を上がるごと、時間が進むごとの基本的な状況変化が描かれる。
Episode2の麗佳シナリオで、登場人物の中に紛れ込んでいる『ゲーム』の仕掛け人サイドのキャラクターが役割が描かれる。
Episode3、渚シナリオでは『ゲーム』のディーラーや観客側に主人公から働きかけるイレギュラーなゲームが展開される。
そして、Episode4の優希(&咲実)シナリオでは、『ゲーム』のルールをほっぽり出して運営サイドと対決することになる。
章が進むごとに、最終的な生存者の数も増えていく。
再プレイするたびによりよい選択肢を選べているような感覚だ。(それだけに、2人しか生き残らないかりんシナリオが浮いて感じる)
ちゃんと順番に意味があるのは当たり前のことだけど、やはり印象がいい。
ってか、数日で一気に読んじゃったんだなー。
うっかり2を買ってしまいそうだ。ボリューム不足らしいので迷うところだけど。
さて、次はそろそろぜのさがを進めよう。
もう半年くらいろくに進んでないし。
……そういや、おまけ座談会の台詞にあった、手塚と高山がマフィアと戦うアクション映画が見てみたいなあ。
手塚はいいキャラだった……。