SRPGとしてだけ評価するなら、微妙。
出撃ユニットを選択できるマップが、全50マップ中7マップしかない。
アイテムを装備するという要素こそあるが、大半のアイテムは余るほど手に入るからありがたみがない。
強いユニットばかりで難易度が低い。
地形効果がないから配置に悩む事がない。
武装は遠近問わずすべて移動後に使用できる。
地上ユニットが入れないマスには、空を飛んでいても入れない。コストが高い地形や段差があるマップが少ない。よって、飛行の意味が薄い。
敵は遠距離必殺技を持っていようがどうしようが必ず近距離攻撃を仕掛けてくる。
……一分ほど考えて浮かんできたナムカプの欠点はこんな感じである。
どんなに頑張っても、微妙としか言えないだろう。
だが、そんなことはどうでもいい。
このゲームのキモは、ブランチアサルトと呼ばれる攻撃システムだ。
各キャラクターは遠近のどちらか、ないし両方の技を5〜6種類ずつ持っている。そして、『攻撃数』という能力があり、攻撃を仕掛けた際にはその能力の数値の回数だけ技を繰り出す事ができる。
攻撃を連続でヒットさせるとこの攻撃数が上がったり、ダメージが上がったりする。クリティカルダメージの要素もあるのだが、これがランダムではなく『敵が地面に落下してから0.08秒以内に攻撃を命中させる』という条件で発生する。
攻撃の順番を考え、攻撃が連続してヒットさせたりクリティカルを発生させたりするタイミングを覚えることで、与えるダメージは上がっていく。
最終的には、少なくないユニットが敵ザコ(下手をすると中ボス)を一回の攻撃で葬ることができるようになる。
先刻、『強いユニットばかり』と書いた。この言葉に嘘はない。一回の攻撃とまではいかなくとも、ザコを倒すのに三回も攻撃を仕掛けなければいけないユニットはいなくなる。(もちろん、そこそこ以上のアイテムを装備させ、レベルを上げればの話だ)
ナムコクロスカプコンはSRPGとは名ばかりで、強力なキャラクター達が敵をボコボコとぶん殴ってなぎ倒して行くのを楽しむゲームなのだ。
どちらかと言えば、アクションゲームの楽しみ方に近いと言える。
ナムカプ参戦作品のジャンルの内訳を見てみよう。
アクション:11作品
格闘アクション:5作品
RPG:5作品
シューティング:5作品
SRPGなんぞという文字は一つもない。
購買層は必然的に参戦作品のファンであり、いまだにゲーセンで大量に金を使うような連中が少なくない数を占めることになるであろう。
大量のキャラクターを処理するためにSRPGの皮を被りつつ、アクションとしての楽しみを提供する……誰を相手にモノを売ろうとしているのかよくわかっていると言えよう。
色々な作品のネタを放り込み、聞ききれないほどのボイスを入れてあるのだって、同じことだ。
プレイヤーはヒーローの祭典を見たいのだ。練りこまれた重厚なストーリーなんぞが見たいのではないのだ。
まあ、別作品のネタを絡めるために色々妙な点も出てきてしまっているが、その辺はご愛嬌。
キャラゲーであることを期待して買うのに、キャラゲーにしないのは欠陥にしかならない。
ただし、ブランチアサルト制がキモだと先ほど書いたが、このシステムは同時に欠点でもある。
最終的には、一回の攻撃につき10数回もの技を繰り出すわけで、とにかく戦闘に時間がかかってしまう。
140時間はかかり過ぎとしても、たいていのプレイヤーが80時間以上かかっているようだ。
また、SRPGの皮を被っている以上、SRPG的な面白さを期待して買う人も出てきてしまうワケで。そういう人にはやはり肩透かしを食らわせることになってしまうだろう。
故に100点満点がつくようなゲームではない。しかし、70〜80点程度の佳作と言っても差し支えないだろう。
参戦作品をある程度知っている人になら、迷わず買っていいゲームだ。